人の悩みの90%は人間関係の悩み、
なんて言われることもありますが
一口に、人間関係の悩みといっても
多種多様なものがありますね。
例えば、
- 「人に頼まれると、断れずにあれこれやってしまう。」
- 「家族が機嫌が悪いと自分のせいだと思ってしまう。」
- 「こうした方がいい!と言われるとつい従ってしまう。」
という人は、他者と自分との境界が曖昧になっていて
結果として、自分の思いや感情がわからない状態に
陥ってしまいます。
この時に大事なのが、
「境界線(バウンダリー)を引く」ということです。
この記事では、「境界線(バウンダリー)」の心理学的な意味や
その引き方などをお伝えします。

境界線とは自分を大切にする対人関係の重要ポイント
心理学における「境界線(バウンダリー)」の意味は、
一言で言うと、
「自分と他人の間にある、目に見えない安全柵」のようなものです。
家と道路の境目を、塀やフェンスで区切っているように
心にも「ここからは私のスペース」
「ここから先は相手のスペース」と言う区切りが
必要なのです。
ここでいう「スペース」とは、
感情や思考・行動を含めその人自身に関することです。
アメリカの著名な心理カウンセラーであるG.タワブ氏をはじめ、
多くの専門家は、
「境界線を引くことは、自分に対する最高のセルフケアである」
と語っています。
その理由は大きく3つあります。
境界線が自分の「感情」を守る
1つ目は、自分の「感情」を守るということです。
私たちの心も、使えるエネルギーの量が決まっています。
例えばですが、
親しい人の機嫌が悪い時、
「あれ、私何か言っちゃったかな?」などのように
自分に責任があるのではと思い込んでドキドキしたり、
相手の愚痴や不満を延々と聞き続けて疲れちゃったり
することはありませんか?
境界線が引けていたら、
「これは相手の問題であり、自分とは関係がない」と
分けて考えることができるため、
心の平安を保つことができるのです。
自分の「価値観」や「時間」を奪わせない
2つ目の理由は、「自分の価値観や時間」を奪われないためです。
私には私の、あなたにはあなたの、
大切にしたい時間や譲れない考え、思いがありますね。
それなのに、誰かの都合で振り回されたり、
考えを一方的に否定されたりして
自分を保てなくなる経験はありませんか?
境界線は、
「ここまでは入ってきてもいいけどここから先はダメです」
という区切りでもあります。
だから、境界線をはっきりさせておくことで
人がどんなに勝手なことを言ったりしたりしても、
誰かに振り回されることなく
「私は私」として自分の時間や考えを主張し、
人生そのものの主導権を握ることができるのです。
「相手のことを大切に」もする
3つ目の理由は、「相手のことも大切にする」ということです。
相手のこと?と意外に思うかもしれませんね。
境界線を引くことは、
相手を切り捨てたり見放したりすることではありません。
「私は私」「あなたはあなた」というスペースを明確にすることで、
お互いにそのスペースを侵したり、
自分の都合で迷惑をかけたりすることなく、
安心して対等な関係を築くことが可能なのです。
ここには、多少コミュニケーションスキルは必要ですけどね!
ただ、
境界線があることで
相手の言動にイライラして逆ギレしたり、
相手への不満が溜まって関係がこじれてしまったり、
ということを避けることができます。
以前、私は職場の上司から、
「限界設定をしなさい」と言われたことがあります。
それは、まさにこのことで、
「私にはこれはできるけどこれはできない」という区切りを引くことで、
できることに集中し、余計な重荷を背負うことなく
仕事をすることができました。
同僚や部下に対しても穏やかに接することができたので、
この境界線は本当に大事だなと思ったものです。
お互いに無理なく、対等で心地よい関係を作るためにも
境界線を引くことは大切なのです。
境界線(バウンダリー)を引くことの重要性を
3つ書いてきました。
では、境界線が引けないとどんな困ったことになるのかを
もう少し詳しく説明していきます。

境界線を引けないとどうなるのか?
境界線(バウンダリー)がない、
このことを心理学では、
「境界線(バウンダリー)が曖昧、または崩壊している」と言います。
こういう状態だと、私たちの生活やメンタルにおいて、
深刻なトラブルや生きづらさを引き起こす恐れがあります。
ここでは4つ説明します。
①境界線がないと自分軸を見失い、自分が誰だかわからなくなる
他人の意見や期待に応えようとして生きていると
次第に
「自分は本当は、何をしたいのか?」
「私は何が好きで、何が嫌いなのか?」
など、自分自身の本音や思い(自分軸)がわからなくなってしまうという恐れがあります。
実は、私たち昭和の世代は、この傾向がよく見られます。
周囲から逸脱しないように、迷惑をかけないように、
と周りの人の顔を見て行動するのは得意なんだけど、
いざ自分の好きに!と言われると
「???」ってなってしまう人が多いのです。
それが、生きづらさや自分迷子にもつながることも
あるのです。
②境界線がないと人間関係がこじれてしまう
自分と他者との間に境界線がない人に
よく見られることとして、
✅頼まれたら断れない
✅何か言われても自分の考えを言えない
などのようなこともあります。
「本当は、断りたいのに、、、」
「言いたいことがあるのに、、、」
とグッと口を閉じて心に想いを押し込めちゃう、
そんな経験はありませんか?
そうすると他者との間にもモヤモヤと何かが溜まってしまいます。
「なんで私ばっかり!」
「私のことを考えてくれない!」
と、逆に相手への不満が募ってしまって
結果的に人間関係がギクシャクしてしまうということになりかねません。
もし、そういう事情で人間関係がうまくいかない、、という
心当たりがある人は、境界線が引けているかを
見直してみるといいです。
③境界線がないと心身が疲れ果て燃え尽きる
他者の悩みや感情を聞いてあげると
喜んでもらえますよね。
でも、それを当たり前のように受け入れてばかりいて
疲れてしまうという経験はありませんか?
心のエネルギーも使える量が決まっている、と
先に書きましたね。
他者の悩みの解決や感情の受け止めに
惜しみなくそのエネルギーを使ってしまうと
当然ながら限界がやってくるのです。
疲労感が抜けなかったり、心を平常な状態に保てなかったりして
最悪の場合は燃え尽きてしまうということにもなりかねません。
そうならないためにも
自分の心のエネルギー、使える量があることを知り、
ここまで、という境界線が必要なのです。
④境界線がないと依存関係を作りやすい
他者のいうことをなんでも引き受けているうちに
この人には何を言っても、しても大丈夫、
と相手に思わせてしまう恐れもあります。
境界線が曖昧な人は、
周囲から「あの人は何を言っても大丈夫」と
都合のいい人と見做されやすくなってしまいます。
他者から頼られすぎることで、
逆に、そういう他者がいないと不安になってしまう人もいます。
これは不健全で苦しい人間関係、
対等ではなく支配や被支配、ということを
生じさせる危険性があるのです。
境界線(バウンダリー)を引くことは
相手を拒絶するのではなくて
「ここまでならOKだよ、ここから先はお互いのために踏み込まないでね」
というお互いのための愛あるルールなのです。
自分自身という大切な存在を
他者から勝手に踏み込まれる、利用される、
ということがないように、
相手へも心地よく関われるように、
あなたの意思で「境界線(バウンダリー)」を明確に引くことを
考えてみてください。
もちろん、すでにできている人は、
その状況で問題ないか、修正する必要はあるか、も
見直すといいと思います。
次は、境界線(バウンダリー)を引く方法を
紹介していきます。
心地よい人間関係のために役立てていただけると嬉しいです。

境界線を引く5つの方法は?
境界線(バウンダリー)を引く方法を5つ紹介します。
これは一種のスキルです。
私たち昭和世代は、
「世のため、人のため」が染み付いている方も多いので、
このスキルを使いこなすまではちょっと苦労するかもしれません。
それでも練習するうちに、できるようになるので
少しずつでもやっていくと対人関係が楽になっていきます。
境界線を引く方法①自分のルール、限界設定を決める
境界線を引く1つ目の方法は、
自分のルールや、入っていいのはここまでという
限界設定を決める、ということです。
何か頼まれた時に、無反応で承諾してしまう人ほど
どこまではOKでどこからはNGなのかを
決めておくことはとても大事です。
- 夜21時〜朝8時の間はLINE等に応答しない、
- 自分の業務が終わるまでは人の仕事を引き受けない、
などのように
具体的にすると、自分も相手もわかりやすいです。
境界線を引く方法②アイメッセージで伝える
2つ目の境界線を引く方法は、
アイメッセージで、自分の考えなどを伝えるということです。
これはコミュニケーションのスキルの一種で、
相手を責めたり引き込んだりしないため、
冷静に対話ができる方法として有効なのです。
やり方は、
「私は」を主語にして話すということです。
例えば、報告や連絡をくれない相手に対して、
「なんで連絡してくれないの?」というと
イラつきが伝わっちゃいますが、
「私は、心配になっちゃうから〇〇については連絡して欲しいのです。」
というと、あなたの思いがスムーズに伝わります。
あれこれ、仕事を振ってくる上司に対しても、
「そんなに、言われてもできません!」というよりは、
「私は、これと、これはできますが、その他は手が回らないのでお断りします。」
と言った方が、できること、できないことを知ってもらえます。
アイメッセージは、様々な場面で使えるので
ぜひご活用ください。
境界線を引く方法③NOの言い方を作っておく
境界線を引く方法、特にお断りをする場面では、
その言い方がいくつかパターンとして作っておくことを
オススメします。
境界線が曖昧な人は、断ることに罪悪感をもってしまうことがあります。
(ちっとも悪いことではないのにね)
だから、公式のようにこういう時はこの言い方、
というのをその場に応じて言えるようにするといいです。
例えば、気が進まない飲み会やイベントのお誘いの時は、
「家でゆっくり身体を休めたいので、ご遠慮します。楽しんできてね。」
早く帰りたいのに残業など引き止められそうな時は、
「今日は、家族と約束しているので定時で失礼します。」など。
理由はなくてもいいんですけど、
・ご遠慮します、辞退します。
・引き受けかねます。
・それは私には不可能です。
などのように、言い方だけでも知っておくと便利ですし、
それを軽やかに伝えられるよう練習しておくといいと思います。
境界線を引く方法④それは誰のもの?を意識する
アドラー心理学に「課題の分離」という概念があります。
これは、他者の課題と自分の課題とを切り分けて、
他者の課題に入り込まず、
自分の課題に集中しましょう、ということです。
そのことが対人関係のトラブルを遠ざけるともしています。
境界線を引くのは、まさにこの考えと同じなのです。
「それは誰の課題なのか?」を考え、
他者の課題には入り込まないとと同時に、
「自分の課題」に関しては自分で解決できるように
努めましょう。
日頃から、この「課題の分離」ができていると、
誰かが境界線を越えようとしても、
「これは私の問題かどうか」に基づいて対応することができます。
つまり、境界線を引けていることになるのです。
境界線を引く方法⑤物理的に距離を置く
何度言っても理解してもらえない相手や
言葉で伝えにくい相手には、
物理的に距離を置くことも大事です。
スマホの電源をオフにする、
相手がいる場所には近づかない、
関わる時間を減らすなど、が効果があります。
例えそれで悪く思われたとしても
常に自分のスペースに入られるよりは
心理的な負担は減少します。
あなたのパーソナルスペースを守ることを
第一に考えてくださいね。

まとめ:境界線を引くことで対人関係が楽になる!
境界線(バウンダリー)を引く方法やその大切さについて
お伝えしてきました。
最後に私の経験を少しだけ書いておきます。
私は、人に迷惑をかけてはいけない、
目上の人に言われたことは素直に従う、
などの考えを自分の当たり前にとして生きてきました。
そのおかげで、人に喜ばれたり良い評価を得たりすることもできました。
しかしそれが、NOを言う妨げとなり、
自分の気持ちを後回しにすることが積み重なっていきました。
その結果、問題は特にないのになんだか苦しい、
自分が本当はどうしたいかわからない、
と言う停滞感を作ってしまったのです。
心理学を学んだことで、
やっと私の境界線の曖昧さが、その問題を引き起こしていたことに
気がついたのです。
いまだに、断ることや頼ることは得意じゃないのですが、
「境界線」を意識することで、
自分を取り戻し、対人関係も楽になったと感じています。
もし、あなたが今、対人関係に苦しさを感じている、
あるいは、本当の自分の気持ちがわからない、というのなら
「境界線」が引けているかを見直してみるといいと思います。
「私」の領域を大切に守ってあげてください。
お読みくださりありがとうございました。